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「どこが、悪かったんでしょうか」(3)
これは困った。急にくびといっても次の運転手が見つかっていないので、子供の送迎はどうするのか、考えねばならない。送るのは早朝なのでハル自身ができるのだけど、迎えにいくのは、昼間の時間帯なので無理である。でもまたいつもの調子で「まあ、何とかなるだろう」

この「まあ、何とかなるだろう」というのは、非常にインドネシアらしい考え方である。日本人は概して、後先のことばかり考え、慎重になり過ぎるきらいがある。

たとえば、ハルの運営するゴルフショップJPgolfで、インドネシア人客は、「安い!」と思ったらちゃっちゃと買うのだけど、日本人客は買うのを慎重に考え、「次、来たら、買おう」なんて悠長なことをいっている間に、インドネシア客に買われてしまうことが結構多い。

では、インドネシア式がいいのかといえば、後先考えず、子供を量産する貧困夫婦も多くて、これはあまりにもアホである。

閑話休題―。

ハルも「じゃあ仕方ないね。くびにするか」

その日の夜、運転手にくびを言い渡す。

「これ今月分の給料ね」
「えっ、きょうは何日ですか?」
「いや、明日から来なくていいから。子供の送り迎えは自分でするから、お前はもういいよ」
で、相手の反撃を待つことなく
「これ、ボーナスだから」といって50万ルピアを渡す。さらには
「携帯電話もボーナスとしてあげるから」

普通はもっとあげないといけないのだが、女房から「絶対やってはダメ」と厳命されている。

でもこの運転手もバカで、月の半ばで一ヶ月分まるまる給料がもらえて、さらに50万ルピアと携帯電話までもらえてよほど嬉しかったのか、にこやかに
「買ってもらった自転車はどうしましょう」

以前、通勤用に自転車を買ってやったのだ。
「ああ、それもボーナスとしてあげるよ」

これでますます機嫌をよくしたこの運転手、最後には向こうから手を差し伸べてきて、別れの握手にて無事くびきりは終了。

その日の夜、女房に次のようなSMSがあった。

「二年間お世話になりました。推薦状を書いてもらえますか。ところで

私のどこがいけなかったんでしょうか

もちろん推薦状は書けない旨を伝えたのであるけど、この二年間のお説教は一体何だったのだろうか。お説教なんぞせず、始めからくびにすれば良かったのか。うーん・・・。


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