先日、急ぎで、ファックスを送らないといけないことがあった。生憎、休日で事務所にはいなかったので、近所のWARTELを利用することに。このWARTELというのは、いわば公衆電話屋で、街中の至るところにあり、国際電話はもちろん、ファックスも当然利用でき、非常に便利な店(システム)である。
さてその店の番をしていたのは、齢65は越えていると思われるお爺さん。そのお爺さんにメモ書きした電話番号を渡し、ファックスを頼むと、これがまたたどたどしい手つきでボタンをプッシュ。「大丈夫かな?」と訝りつつ、その様子を伺っていると、案の定、PCに表示されている電話番号が違っているので、当然ファックスは送れず、電話先の「ハロー、ハロー」と声が聞こえるのみ。
「おじいさん、番号が間違っているよ。もう一度やり直して」
おじいさんはやりなおすのだが、どうにもうまくいかない。どうやら番号を押し間違えているのではなく、電話機そのものの調子がおかしいようだ。
とにかく急いでいるので、もういいやと他所のWARTELを探す羽目に。
で、その店を出ようとすると、お爺さんはプリンターで印字されたメモを差し出して
「2500ルピア(約30円)です」
「ねえ、お爺さん。電話を使ったかもしれないけど、結果的にファックスを送れなかったんですよ。どうして払わないといけないの?」
「記録は残っている」
「あのね。番号を間違えたのは、そちらですよ。どうして私が払わないといけないんですか?」
「記録は残っている」
「だからあ、悪いのはその機械でしょ。こんなとき、普通はお金を取りませんよ」
「記録は残っている」
「おじいさん、よく考えてね。確かにファックス送信を依頼したのは私です。しかし結果的にファックスは送れなかった。もしこれがレストランで、ナシゴレンを注文したとして、そのメニューが来なかったらお金を払いますか?」
「記録は残っている」
そうして私とお爺さんとの間で、不耕のやりとりが続き、ついに私は負けてしまった。そのお爺さんに2500ルピアを払ったのである。インドネシアでは『泣く子と爺には勝てない』のだ。
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