編集長ハルの気まぐれ日記

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「甥の死」の記憶(前)
以前、幼稚園の先生が交通事故で亡くなった話を書いた。この国ではお金を持ってこない限り、重症の救急患者といえども手術を受けられないという内容だった。

その話をつい最近ジャカルタにやってこられた方に話したら「それは大げさな。人道的にそんなことが許されるはずないじゃないですか」と、こちらにすれば当たり前の話をしただけなのだが、どうも納得されないようなので、ハルの身近に起こった事故の話を彼に語った。その方にとってはそれでも納得いかないような顔をしていたが、彼が納得しようがしまいが、こちらも事実なのである。その話とは―

女房の甥が交通事故で死んだのは、まだ数年前のことだ。そのときの記憶はまざまざしく、甥が運ばれた病院、手術で移送された病院、家族の涙、葬式・埋葬の様子など今でもはっきり覚えている。

仕事中のハルに女房より電話があり。「甥の○○がオートバイ事故で重態だ。すぐに来てほしい」

甥はまだ中学二年生であった。どんな事故を起こしたか―。近隣の知り合いからオートバイを借りて(有料)、友人と遊んでいたところ(まあやんちゃ坊主が二人いたと思ってください)スピードの出しすぎでコンクリートの壁に激突、その勢いで二人とも道路に放り出された―というもの。友人の方はかすり傷ですんだのだが、甥は、運の悪いことに、転んだところへ大型のトラックがやってきて、後頭部を激しく打ち付けた。そのまま近くの病院へ担ぎ込まれ、これからどうしようかと親族の判断を待っていた。そんなとき、女房が私を呼んだのである。

私を待っていると言うので「私の到着など待たず一刻でも早く処置をした方がいい」といえば、手術代に〜かかる。いま甥の家族には(手術代に必要な)現金がなく、病院側は「お金を全部払ってもらわないと手術はしない 」と言うのだそうだ。

その金額は日本円に直せば二十万円ほどで、私にしてもそんな現金を持ってはおらず、まあカードが使えるというので、クレジットカードをもってその病院に行ったのだが、使えるはずのカードが使えず(限度額があったため)、別のカードで支払おうとすれば、今度はそれも使えず、結局私がKITASと名刺を出し、必ず払うと一筆書きサインをして、ようやく手術がなされたのである。ちなみに病院側にとっては、外国人の方が信用できるらしい(以下次号へ続く)

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