編集長ハルの気まぐれ日記

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漢方薬とオレンジジュース(後)
5センチ×10センチぐらいの透明な袋に入った、液体状の飲み薬である。色はねずみ色(泥の川のような色)、袋には朝鮮人参と鹿の絵が書いてある。どう見てもまずそうな色であり、これを飲むには勇気がいるだろうなあ。温めて飲むらしい。コーヒーカップ一杯分の量である。

さてこの怪しげなドクター、この薬を6日分×3袋持ってきて全部で60万ルピアと言い、ただ白い紙切れに600,000と書き込み、それを○で囲んだ。

こちらにすればこの咳が直れば、たとえ彼がもぐりでも何でも構わない。60万ルピアを払い、治療院を後にする。もらった領収書も怪しかった。市販の領収書にただ60万ルピアと書いて、ぽんと判子を押しているだけ。

こんなので本当にいいのかなあ?あのドクター、いや漢方薬師、やばいんじゃないのと思いつつ、昼時でもあったので、そのままレストランへ直行。まず昼飯でお腹を膨らまして、いよいよ薬を試すときがやってきた。ウェイトレスに頼み、袋を温めてもらう。空のコーヒーカップをもらい、袋を開けると、強烈なにおい!どんなにおいかと言えば、中国系のお寺へ行ったときに嗅ぐ、あの御香の(しかも強烈な)においである。

げえ、これを飲まないといけないのか・・・。これはとてもではないが、一気飲みできるような薬ではない。店側にオレンジジュースを注文、いけるところまで一気に飲んで、味を感じないうちにオレンジジュースを口に含ませる作戦を立てた。

作戦開始。一気にグイっといくが、いかん!わずかカップ5分の一を飲んだだけで、ウルトラまずい、まるでこの世のものとは思えない、強烈な臭気、味わい!

オレンジジュース!

この作戦はなかなか功を奏し、ハルがこの薬を吐き出す前に臭気を打ち消してくれた。ゲップで薬が戻って来ぬよう、オレンジジュースをじっくりゆっくり口にする。そしてワンクッションおき、またまたチャレンジ。

オレンジジュース!

こうやって同じ作業を5回ほど繰り返し、ようやく薬を飲み終えたハル。これをまた夜も飲まなければいけないのかと一瞬途方に暮れた。ええい、風邪さえ治れば、咳さえ止まれば、この薬のまずさなんてどうってことない。そして夜を迎える。

再度薬に挑戦である。食後やはりオレンジジュースを注文、昼間と同様の作業をする。今度はさらに時間をかけてゆっくり飲み干すことにした。しかしカップの5分の4を飲み、あと少しというところ、だんだん涙目になってきた(本当です)。本当にこんな薬で治るんだろうか。あれだけタケノコ先生とつきあいながら、そして現代医学についていろいろ教えてもらいながら、風邪が少し長引いただけで、ころっと漢方薬に靡くなんて。

ええい、この咳さえ治ればいいのだ!最後のカップ5分の一を口に・・・しかしとうとう最後に力尽きたハル。もう無理だ。これ以上は飲めない。全部飲まなかったといえ、5分の4ぐらいは飲んだ。明日には効果があるだろう。効果があればしばらく続ければいいし、なければ止めればいいだけのこと。翌日を待つことに。

が、効果を知るには翌日まで待つ必要は無かった。夜中自分の激しい咳で目を覚ましたハル。ゴホ、ゴホ、ゴホ、ゴホ、ゴホ、オエ〜と咳が止まるどころか超悪化!家内もびっくりするほどの大咳に「ち、ち、畜生!あの漢方薬は一体なんだったんだ!あれほど苦しい思いをして飲んだ、あの超ウルトラまずい泥水はなんだったんだ!」

後悔、先にたたず。覆水盆に返らず。それからタケノコ診療所でもらった薬を何粒か飲んで、翌日タケノコ診療所へ行く。

「先生、今度は風邪がひどくなりました。よく効く薬を下さい」
「うーん、おかしいなあ」

きのう、怪しげな治療院に行ったとはさすがに言えず、薬をもらい帰路につく。しばらくすると風邪は小康状態となり、ゴホゴホは続くが、随分ましになってきた。

そう、薬はちゃんと効いていたのである。治らないのではなく、酷くならないよう薬が頑張ってくれていたのだ。またまたタケノコ先生のことばを思い出した。

「薬は確かに効くんだよ。でも治らないのはそれだけ症状が重いと言うことなんだ。だから薬は飲み続けないといけないんだ」

そうハルは一体何を教わってきたのだ。タケノコ先生、ごめんなさい。ハルはタケノコ先生の教えに背き、訳のわからぬ漢方薬に手を出したため、その報いを受けてしまいました。直接お詫びできないので、この誌面にてお詫び致します。このことに関しては今後責める事のないようよろしくお願い申し上げます(終)

追記〜韓国人の友人に聞いたところによれば、漢方薬はじっくり効いてくるので、即効性を期待しては駄目だそうです。またジュースと併用して飲むのもよくないとか。本編を読んで「韓国の漢方薬は効かない」と誤解しないようにお願い致します。


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