駐車場ビルのオフィスへ出向く。そこでの話―。
すべて話は通っているようで、「まあ、入ってください」と奥へ通された。
で、こちらの話―既に返したカードを返せといっても「ないものはない」でどうすればいいのか―をしたところ
「この記録を見てください。039のカードだけが返ってきていないのです」
「だからあああ(少々疲れ気味に)、僕が返したカードは一番最初に返し忘れたカードで、(うちの運転手が)受け取らなかったカードを返せといっても返せるわけないでしょう」
「うちは必ずカードを渡すことになっています。カードを渡さなかった係の名前は?で、何時何分ごろでした?」
「あのさあ、いちいちそんなこと確かめておくわけないでしょう。アホか(bego si !)」
「それならこの記録の039のカードはどうしたのですか」
「だから『ないものはない』って言ってるじゃないの。僕が返したのは何番か知らないけど、一番最初に返し忘れたカードはちゃんと返したんだから」
「それならこの記録になる039のカードはどうしたのですか」とまったく噛み合わない会話に、そろそろハルも次のようなことがわかってきた。
この駐車場係は「あきらかにハルが鍵を紛失してその事実を認めたくないためゴネている」と思っている―。
「で、どうすればいいわけ?カードが見つからないとずっとこの駐車場に車を置いておけっていうこと?」と少しずつ声を荒らげてきたハル。
この駐車場係のインドネシア人、笑顔を絶やさず「置いてもらってもかまいませんが…」といいかけたとき、とうとうぶちっときて
「馬鹿野郎!(gobrok !)どうやって家に帰るんだ!俺は!」
しかし、ハルもいい加減こんな不毛な争いはやめようと思い、(時間の無駄なのだ)
「で、事実はどうだっていいからさ。解決方法を教えてくれよ」
にもかかわらずその駐車場係さらにハルを激怒させる余計なひとこと―。
「この記録を見てください。039のカードだけが返ってきていないのです」
「わかってるわい!何度言うたらわかるねん(大阪弁訛りのインドネシア語)!だから解決方法を教えてくれ言うてるやろ!ぼけ!」ここからは大阪弁で書きます。
今度は「まあまあ」と別な駐車場係が中に入ってきて
「039のカードだけが返ってきていないのですよ」と同じことを言うものだから
「ええ加減にせい!何回も同じこと言うな!こっちが失くしたっていうなら、それでも構へんわい。だから解決方法だけ教えろ言うてるやろう!」
まあもともとの非はこちらにあるのだし、話をこれ以上長引かせたって何の得にもならない。
「そうですねえ。失くしたカードの発行に3万ルピアかかります」
で、その場で3万ルピア払おうとしたら
「7階のキョウエイプリンス事務所に言って失くした旨をレポートしていただかないと・・・」といいかけたとき
「ええ加減にせい!こっちは事を早く済ませたいから、認めたあないもん、認めとる言うとんのやろうが。それを『オフィスにいって…』とはどういう料簡じゃ!ここで金、払うたるわい!」
いまにも駐車場係の胸倉を掴みそうになったとき、傍らの駐車場係が、ハルのKITAS(のカラーコピー)をもってきて「これはお返ししますので」と差し出す。
「そんなもん、いるかい!」とその場でびりびり破いて机の上にぱらっと放り投げてやった。ただのコピーなので、いたくも痒くもないのだけど、係の連中はその行為にそうとうビビったようで(なんにしろ、カラーコピーなので本物と思っていた節がある)
慌てて「いえ、お金の支払いは結構です。事務所にも行って頂く必要はありません」
「はああ、なんやそれ?」
「いえ、本当にお金の支払いは結構です。もう済みました。ハイ・タア〜〜〜チ!」とはニコニコしながら片手を挙げてハイタッチの要求をしてきた。
「……」
アホか、こいつ。このハイタッチ要求にはとうとう呆れ果て、もう怒る気さえ起こらず、かなしいかな、ハルも「もう、いいや」と思ってハイタッチしてやった。そうしないとこの場を収めることはできまい。
こんな小さなことで、事を大きくしても仕方ない。キョウエイプリンスの日本人ダイレクターN氏とは知己の間であるが、馬鹿馬鹿しくて彼に伝えることもできない。
もともとはこちらのミスだから仕方ないのだけど。疲れるなあ。
インドネシアは疲れるのだ(終)
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