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さあ、ここで奮起したハル。こんなときに限って大叩きすることはよくある。だからティーショットだけはきちんと打っておきたい。第一打はなんとかフェアウェイをキープ。第二打以降はよく覚えておらず(なんせ随分以前の記憶なので)、ただボールをカップに入れた瞬間、キャディーに向かい「ダボだよね!」と確認。キャディー、大きく頷き「そうだ!」
やった!とうとう念願の100切り達成である。
「テリマカシィ、バニャック!」
キャディーにはチップを余計にやり、達成感に酔いしれた。クラブハウスへ歩く道のりもスコアカードを見ながら、む、ふ、ふ。「アイアムチャンピオン!」
スコアを計算しなおす。5+6+4+7と…あれ、キャディーの計算と違うぞ。再度計算、5+6+4+7と…あれ、やっぱり違うな。三度計算して、愕然としたハル。
キャディーの計算では99となっているが、正しくは101であった。あの野郎、足し算、間違えやがって!ちくしょう!余分に払ったチップ返せ!しかし時既に遅し。
こうやってハルが100を切るのはさらに数ヶ月を待たねばならなかった。
人にはそれぞれドラマがあるのだ。
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