天人五衰
仏教用語で、千年の寿命を終えようとした天上界の人々が最後には体中が腐り朽ちる様を天人五衰という。いくら天上界の人々とはいえ、最後には朽ちてまたもや輪廻転生を繰り返し、四苦八苦からは逃れられない―。
編集長ハルは、こう見えても学生時代、読書家であった。たとえ現在の愛読書が少年マガジン連載中の「はじめの一歩」であり、これだけは全84巻(続巻中~)きっちり持っていると言えども、学生時代にもっとも好きな作家は三島由紀夫であり、彼の本は7割方読んで、その他有名どころ(漱石、太宰、芥川その他もろもろ)も結構読んでいた。
その三島由紀夫の最終四部作「豊饒の海」の最終巻がやはり天人五衰というタイトルで、この四部作を飾るに相応しい力作であったのだけど…。
で、なんでこんな話をしているのかといえば「三島を読む編集長ハルはかなりの博学家である」と思ってほしいからではなく、まさしくハルの体が今『天人五衰』なのだ。
せっかく治った左腕のゴルフ肘、「さあこれから真剣に取り組むぞ」とおもった矢先に右足の足底筋膜炎。さらには今度は右肘も痛み出してきて、さらにはさらには左足も右足と同じような足底筋膜炎となり、ついでに言うと、歯茎からは始終血が滲んで、目も見えなくなってきて(近眼に現在老眼が加わって)、風邪で二日ほど寝込むは、深爪するは(これは不注意なのだけど)で、もうまったく天人五衰状態である。
ゴルフの上達どころではない。ゴルフのできる状態ではないのだ(やっているのだけど)。
最近、「はじめの一歩」ばかり読んでいるので、たまには(というか数十年ぶりに)三島の「豊饒の海」四部作第一巻の「春の雪」を読みかけたところ―。
「いかん!まったく読めん!」
二十年以上前にはすらすら読めた小説が、一ページも読めない。集中力ゼロ。いろいろ考えることがありすぎて、まったく小説に集中できない。集中力さえなくなってきた。
五右衛門でスポーツ新聞を読むとき、詰め将棋のコーナーがあって、一応考えようとするのだけど、7手詰めだともうパス。5手詰めでも三分考えてわからないなら、新聞を閉じて、漫画本に移行する。
そう脳まで腐り始めたのだ。天人五衰―。まさしく天人五衰なのだ。それでもゴルフはしないといけない。ハルの究極の目標は「ハンデゼロのスクラッチプレーヤー」である。しかしこの調子でいけば、近場の目標である「青ティーから安定して100を切ること」さえ覚束なくなる。これはいかん。ハルは精神修行の旅に出ないといけない。輪廻転生から脱却し、仏の道を志さねばシングルの道は遠い。
そういえばハルの終生のライバル、ディビッド山岡も天人五衰状態であったような気がする。ディビッド山岡よ、ともに精神修行の旅に出かけようではないか。
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