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  ゴルフショップ繁盛記


時間を返せ!

先日、女房より電話あり。
「パパ、潰れたゴルフショップがあるの。明日にでも事務所を引き払うのでゴルフ道具を処分したいんだって。まだ新品のクラブがたくさんあるらしい。行ってみる?場所はブロックMの近くなんだけど」
女房の話では、このゴルフショップのオーナーと女房の遠い親戚が知り合いで、私がゴルフショップを経営していることを聞きつけ連絡してきたものである。

ブロックMのゴルフショップといえば、ラジャゴルフかその隣のインチキゴルフショップ。あるいはガルーダの姉妹店あたりだろうか。ラジャが潰れるはずはないので、ひょっとしたらインチキゴルフショップがとうとう潰れてしまったのか。それだったら(コピー製品ばかりなので)引き取れないなあ。現金もあまりないしなあ。

しかし行ってみる価値はあり。とりあえず10juta(11万円ぐらい)ほどキャッシュを用意して、指定された場所へ向かう。

指定場所はパサラヤの前あたり。きょろきょろ辺りを見回してみるが、ゴルフショップらしい店は見当たらない。するとあちらの方から「こっちだ、こっち」と手招きする親戚の姿があった。そしてそのまま連れていかれたのが、とある事務所ビルの二階。その事務所は明日にでも引き上げるようで、準備で忙しかった。

「店はもう閉じたのかな。品物だけここに置いているのだろうか?」

その事務所の一室には無造作に古いアイアンセットとドライバーがニ、三本、ウェッジが二本、小汚いキャリーバッグが二つ置かれていた。

新品の山はどこにあるのだろうかと訝しく思っていると、その親戚が目の前のクラブを指差して

「これなんだけど」
「・・・・・・」

思わず、絶句したハル。この数本あるうちで、使えそうなクラブはたった一本、Titleist983Kのみで、あとは全部少なくとも10年以上前のクラブ、しかもウィルソンやらマクレガーの安物やら、おまけに錆びがきており

「これがどうしてまだ新品?」

とりあえず983Kだけを指して

「これだったら買ってもいいけど」

で、その親戚は奥にいる所有者のもとへ

「全部買ってほしいそうなんだ。全部で11juta(12万円ぐらい)だそうだ」

その11jutaという金額を聞いてまたもや絶句のハル。

瞬間「これは全部ゴミだね。ゴミを11jutaで買う奴はいないよ」と言い残しその事務所をあとにした。事務所にいた時間、わずか一分。その親戚はゴルフのことはまったく知らず(ゴルフはお金持ちがやるスポーツで、道具も高いというぐらいの知識しかなくて)、ハルに購入依頼をしてきたのだろうけど。全部で11jutaというのは、彼の取り分が1jutaで、オーナーの取り分が10jutaなのだろう。

ハルがお金持ちだとして、ゴルフの知識がまったくないとする。そのときこの話が来て「安いから」と言われれば、ひょっとして買ったかも知れぬ。でもそれで勝ったとしても後々ゴミを買わされたと当然わかる訳で、そうなったら完全に詐欺ではないか。

家に帰って女房に事の顛末を報告、女房は大笑い。

あまりにも大笑いするのでちょっと言ってやった。
「あいつ(親戚)なんだけどさあ。自分が詐欺の片棒担ぎかけたとわかっているの?もし彼がまともな話を持ってきたとしても二度と信じないからね」
「だってゴルフの道具がいくらするのかも、いいのか悪いのかも知らなかったんだから」
「だったら、自分の知っていることだけに専念するよう言っておけ。もし今度同じような話をもってきたら永遠に信用しないからって」

しかしどうして
「事務所を引き払うので(ゴミのような)ゴルフクラブを数本処分したい」

「ゴルフショップが潰れて新品のクラブをたくさん処分したい」
に変わるのだ?

伝言ゲームだったら面白いのだろうけど。

時間、損した。ハルの時間を返せ!
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